クルマ選びは
  新車データベース
マイカー採点簿
試乗記検索エンジン
国産車サマリー
カーライフ情報は
  厳選クルマリンク
車何でもランキング
車何でもアンケート
自動車保険
業界情報は
  ニュース&トピックス
コラム&レビュー
メールマガジン
  週刊くるまーと
モバイル対応
  運転免許問題集
ガソリン価格調査
車物知りクイズ
いつでも、どこでも
  iくるまーと(携帯)
くるまーと情報
  ウェブマスターより
広報&報道記事
お問い合わせ
 

info@kurumart.jp


トップページへ戻る

 

コラム&レビュー

新車心象風景:トヨタ・ウィッシュ

 
 今回はデザイン・インプレッションということで。まずはウィッシュ、そして次回はクラウンマジェスタのトヨタ2車を。


 新しいデザイン・フィロソフィを掲げてからのトヨタデザインはどうもなあ、と思っているんだけど、それは新しいウィッシュにもズバリ当てはまるんである。ここでは、フロント、サイド、リアが全部バラバラという話だ。

 まず、デカい顔。デザインコンセプトにもなっているとおり、フロントの安定感を出すためにバンパー両端が台形に広がっていて、正面から見ると四角な威張り具合がよく分かる。これ自体はいいんだけど、一方で大きくベッタリした顔を紛らわすためか、はたまたサーキットで磨いた走行性能の象徴なのか、バンパーのアンダーグリルが強烈にエグられているのが何とも唐突で浮いている。さらに、軽さを出したかったのか、バンパー上面角はウネウネと不可解な曲線でもってカットされており、実に曖昧で気持ちが悪い。

 一方、サイドは先代になかった明快なキャラクターラインが与えられてスッキリに。ま、フロントからリアに向かってサイドウインドウとの間が狭くなるのが少々小細工っぽいけど、ここに妙なウネリを入れてしまったスバルのエクシーガなんかよりはいいと思う。ただ、サイドグラフィックを伸びやかにするためブラックアウトしたというBピラーだけど、個人的には意図的に傾けた先代のボディ同色ピラーの方が前進感を演出していて悪くなかったと思う。

 リアは、サイドのスッキリラインをまったく受け止めていないのがもうイケナイ。先代はハッチ両端にごくフツーに四角形のリアランプを置いて、これがワンモーションフォルムのルーフの流れをグッと受け止めていた。ところが、横長になった新型のランプは、それ自体の形状が非常に曖昧で不安定なことも手伝って、ワンモーションの流れをまったく引き受けていない。そればかりか、まるで日産のウィングロードのようにリアスタイル自体をまったくの無個性、かつ意味不明にしてしまっているんである。

 こうしてフロント、サイド、リアがてんでばらばらなんである。

 で、このエラの張った四角いフロントが“流線な”サイドにどうにも馴染めず、つながり部分が完全に破綻しているのが最大の×だ。フロントホイールアーチがそのいい例で、後半分はフツーに円弧を描いているけれど、前側はフロントバンパーの角と融合させるために、妙に間延びしたデタラメな造形になってしまっている。いや、スポーティグレードなんかはここに普通の円弧を描いたオーバーフェンダーを貼り付けてしまっているので、さらにメチャクチャなことになってしまっている。


 
 かてて加えて、先ほどのウネったバンパーラインが、フロントランプを介してサイドのキャラクターラインにつながっている無理やりさは、もうほとんど理解不能な処理なんである。とにかくフロントランプ後端部分の煩雑さと来たらもう!

 偶然かどうか分からないけど、先代はボンネットに張り付いたようなフロントランプや、強いラインを持たないサイド面、ハッチ両端の四角いリアランプなど、現行の2代目プリウスと共通点が多かった。で、これも偶然なのか、先日プロトタイプが発表された3代目プリウスは、四角くエラの張ったフロントや一直線のサイドラインなど、これまた新型ウィッシュと類似点が多い。

 ただし、角ばったフロントバンパーからサイドへのつながりに大きな破綻がないのと、プリウスはリアランプがほとんど現行と同じで収まりがいいので、妙な不安定さがない。全体では同じようなアプローチだから、つまりはまとめ方のレベルに大きな差が出てしまっているということだ。ライバルのコピー云々は別にして、まとまりとしては先代の方がよかったと思う。

 バイブラント・クラリティと呼ばれるデザインフィロソフィは明快・快活といった意味だそう。まあ、かなり抽象的だからどうにでも解釈ができるわけだけど、実際には多くの場合でボンネットやフロントバンパーなどに表層的なラインを何本も流したり、ヘッドランプ周りをヘンテコな形状にしたりに終始しているのが残念な感じだ。

 一昔前のトヨタデザインと言えば、決して斬新じゃないんだけど「まあ、巧いことまとめるよなあ」というソツなさがあって、逆にその点で不器用だった日産なんかに随分痛い思いをさせて来た。ま、それでも結果的に売れればいいんだろうけど、純粋にデザインレベルで語れば、いまや日産は遥か前を走っていると僕には思える。

 で、これはそのままクラウンマジェスタにも言えるである。

(09/04/07 すぎもとたかよし)

日本の自動車評論を斬る!
すぎもとたかよしのブログ
」へ

本サイトへのリンクはフリーですが、画像・文章を転載する際は事前にお知らせください。
(c)2009 MICle Corp. all rights reserved.