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■新車心象風景「日産・プリメーラ」
■日産プリメーラ
 (2001年1月30日発売)

■主要諸元
 排気量:2000〜2500t
 最大出力:
  170PS/5600rpm 25.0kgm/4600rpm(2500t)
 外寸(o):
   全長×全幅×全高=4565×1760×1480(セダン)
 東京地区標準価格:204〜249万円(セダン)



とにかくデザイン!
 ケッコウな騒がれぶりなんである。
 新生日産の起爆剤として、あるいは象徴として、ある意味トップレインジのシーマ以上に注目されているようにすら見える。それはミディアムクラスのセダンとして、比較的身近で現実的なポジションにあることも原因だろうし、初代がヒット作だったというのも大きな理由かもしれない。
 けれども、とにかくこのクルマが語られるのはそのエクステリアデザインにほぼ尽きるようだ。走りの良さも挙げられているけれど、とにかくまずは「デザイン」なんである。
 で、この新しいプリメーラ、僕はある部分でとても期待しているのだ。いや、それはいま雑誌が騒いでいるようなこととはチョット違うのだけれど。

遅すぎた登場?
 そのエクステリアデザインだけど、多くの雑誌が大騒ぎするほど僕には「トンデモナイ」という感慨はない。要するにビッグキャビンのモノフォルム的造形だということだろうけど、考えてみれば、これはもう4年も前にトヨタがプリウスで同様の試みを実践しているんである。
 たしかにプリウスのフロントフェンダーに施される、取って付けたような「切りかき」や、リアの中途半端なブリスター処理よりも、新しいプリメーラのスパッと切り込まれたショルダーラインの方がより明快で、デザインの意図がよく見て取れる。また、フロントフェイスのなだらかな曲面の立ち上がりや、ハイデッキの抑揚感あるリアエンドの造形もよく目の行き届いた仕上げが施されている。けれども、パッケージングを含めたデザインテーマとしては、ほとんど同じと言ってもいいだろう。しかもアレだ、4年の差といえば日本車の場合、一世代分にも当たる年月じゃないか。
 思い返してみれば、初代が発表されたときも、その極めてドイツ車然とした質実剛健さ、そしてシンプルでクリーンなスタイルに多くのメディアは注目した。合理的パッケージングを含み、これまでの日本車にはないコンセプトのクルマとしてかなり騒がれたもんである。プリメーラというクルマが、セダンとしてそうした「革新性」を謳うモノであるなら、初代にストローを差して中途半端に膨らませただけかのような2代目はあらゆる点で「不合格」だったろう。そして、もし日産がプリメーラの革新性を今回のようにあくまでも「デザイン」に求めるのであれば、先の印象も含めて今回のモデルこそが「2代目プリメーラ」であるべきだったと僕は思う。まあ、話としては「いまさら」なんだけど、このカタチを4年前に登場させることが本来のプリメーラの役目だったと思うんである。

プリメーラは誰のもの?
 で、この新しいプリメーラに対する僕の印象だけど、もうこれは日本の、日本人のためのクルマではないないのだな、ということだ。いや、これはべつに悪い意味で言っているんじゃない。
 さらに思い返してみれば、初代はそもそもが欧州市場に向けて開発されたクルマだった。けれども、恐らくは質実剛健なスタイルがある部分で日本人好みの「端正さ」を感じさせたことと、いわゆる5ナンバーサイズ収まっていたこと、そして1800t版というお買い得車を設けたことなどから、たまたま国内でも予想外のヒット作になってしまっただけの話なんである。雑誌などのメディアも、プリメーラはあたかも自分たちのクルマであるがごとく騒いでいるけれど、もともとがそういうクルマじゃないのだ。
 だから、これから出てくるプジョー407や新しいVWパサート、アウディA4などを仮想敵として、ヨーロッパスタジオのチーフデザイナーによって生まれた全幅1760oの流麗で堂々たるスタイルは、まさに欧州人による欧州人のためのクルマであって、そこには初代が持っていた一般的日本人の心を掴む何かはもうほとんど残されていない。日産自身も直接のデザイナー本人と日本のデザイン部長を起用したTVCFを流して斬新さをアピールしているけれど、それによってあの初代のヒットをもう一度などとはよもや思ってないだろう。いや、もし思っていたとしたらそれはあまりに虫が良すぎる話だ。ましてや、日産がこのクルマを国内ミディアムクラスのメイン車種などと位置づけていたりしたら、それはとんでもない誤りである。
 メディアは販売一ヶ月で1万台を超えた受注に「絶好調」を宣言しているけれど、僕に言わせれば、これ程大騒ぎをしているクルマなのに販売直後で目標の2倍程度じゃないか、といったところだ。ここで引き合いに出すのは少々酷だけど、あのセルシオは発表直後に目標の10倍以上を確保したし、大して注目もされていないランクス、アレックスなる欧州向けカローラですら5倍以上の受注を集めているんである。
 けれども、結局プリメーラはそれでいいんじゃないだろうか?日本国内ではこの程度の反応で十分なのではないか?それよりも、メイン市場である欧州で大ヒット作になることがこのクルマには重要なことなんじゃないだろうか?逆にここでコケたら、それこそプリメーラは本当に失敗作となってしまう。だから日産には欧州での拡販活動で頑張ってもらいたい。できればマーチに続いてヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するくらいの勢いで突き進んで欲しい。
 で、それが本来のプリメーラのあるべき姿だと僕は思うんである。


(すぎもとたかよし)

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