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               フルもセルフと同価格 
                 
                 最近、近隣のスタンドが、従来のフルサービスに加えセルフも導入しました。店舗の入り口側2カ所がセルフに、奥の2カ所がフルの給油機になりました。で、謳い文句は「フルもセルフと同価格」です。 
                 
                 9月26日付の日経産業新聞に、「セルフ式も失速、給油所手詰まり」という標題の記事が掲載されました。サブ見出しは「フル対抗値下げ、目新しさ減る」「エコカー普及も逆風」「生活インフラどう維持?」。 
                 
                要約すると、 
                 低コストでガソリンの販売量を稼ぐセルフ式の給油所(SS)数が、今年3月末で8,449店と、1998年4月のセルフ解禁後初めて減少した。目新しさと利便性が売りだったセルフが今や当たり前の存在となり、フルSSとの価格差も小さくなってきた。フルとセルフが消耗戦を繰り広げるなか、セルフの顧客満足度は2年連続で低下、フルに近いサービス品質を求める客が増えたのに対応できていない。 
                 
                 乗用車の燃費向上や内需の伸び悩みで、SS全体(38,777店)も減少傾向が止まらない。ピーク時(94年、60,421店)からは2万店以上も減り、地方では「SS過疎地」問題も深刻化する。SS減少は業界だけの問題ではない。ガソリンだけでなく寒冷地での灯油、農作業機械の軽油も供給する生活インフラそのもの。経済合理性で切り捨てるわけにはいかない。 
                 
                 政府による自動車の新たな燃費改善基準も打ち出され、さらに電気自動車が普及すると、ディーラーやコンビニ、ホームセンターなども充電拠点に名乗りを上げ、SS間の競争にとどまらなくなる。ビジネスモデルは転換点に差し掛かった。セルフというSS経営の起爆剤の勢いが衰えた今、石油各社の戦略が改めて問われている。 
                 
                 これも戦略の一つでしょうか?・・・  
              (2011年11月1日) 
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            2010年度元売り別販売量シェア 
               
               日本経済新聞の「点検シェア攻防 本社調査」によると、2010年度のガソリン国内販売量は5820万キロリットルと、前年度より1.3%増加した。記録的な猛暑でカーエアコンの利用が増え、消費を押し上げた。 
               
              
                 
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                     前年度比増減(%) 
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                  | JX日鉱日石エネルギー(ENEOS) | 
                   
                     34.2 
                   | 
                   
                      ▲ 0.5 
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                  | エクソンモービル(Esso,Mobil,ゼネラル) | 
                   
                     16.9 
                   | 
                   
                     + 0.1 
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                  | 昭和シェル石油(Shell) | 
                   
                     15.7 
                   | 
                   
                     ▲ 0.4 
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                  | 出光興産(IDEMITSU) | 
                   
                     15.5 
                   | 
                   
                      + 0.3 
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                  | コスモ石油(COSMO) | 
                   
                     10.9 
                   | 
                   
                      ▲ 0.5 
                   | 
                 
                 
                  | その他(KYGNUS,SOLATO,MITSUI etc) | 
                   
                     6.8 
                   | 
                   
                     + 1.0 
                   | 
                 
               
               
                 10年度はJX日鉱日石エネルギーの誕生抜きには語れない。首位の新日本石油(ENEOS)と、6位のジャパンエナジー(JOMO)が統合、1万2000強の系列スタンドはENEOSブランドに統一された。シェアは、採算重視の方針から前身2社の単純合計と比べると微減だった。同様路線を取った昭和シェルとコスモもシェアダウン。 
                 
                 11年度は東日本大震災の影響で内需減は不可避。さらに、高速道路料金の休日上限料金制度終了や無料化見直しが、内需を約1%押し下げるとの見方も。 
                 震災の影響で、JXエネルギー仙台、コスモ千葉の両製油所は未だ生産停止中で、精製能力が限られたなか、需給は引き締まった状況が続く見通し。各社が打ち出す採算と数量確保の両立に向けた施策がシェア攻防の行方を大きく左右しそうだ。 
              (2011年9月13日) 
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