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●「中古車市場は“レモンの市場”」

 書店のくるま雑誌のコーナーには、様々な専門誌と共に、お馴染みの分厚い中古車情報誌「Goo」(プロト発行)と「カーセンサー」(リクルート発行)が並んで積み重ねられている。
 この2誌に、先月「カッチャオ」(ティーネット発行)という情報誌が新たに加わった。定価は240円。Goo(270円)、カーセンサー(250円)より安い。

 発行元は、アフターマーケット向け業務用パッケージやデータベース最大手の翼システムの子会社。同社が、首都圏を除く全国6エリアで同名の情報誌を展開するJ-netと提携、首都圏版の営業・発行権を取得、発刊した。
 軽板金ショップ「カーコンビニ倶楽部」や、ロードサービス「カーレスキュー70」と同様、中古車ディーラー、自動車補修業者など取引先への集客支援策の一環として出版事業に参入した。

 さて、浅学にも最近初めて知ったが、中古車業界では質の悪い車や欠陥車を「レモン」と呼んでいる。米国で生まれた用語で、「lemon」には俗語で、できそこない・欠陥品などの意味があり、隠れた品質不良がありながら外見からは中身が判断できない商品を指す。
 中古車の売り手は中身を良く知っているが、買い手は知らない。ピカピカでうまそうだと思って買ってみたら、腐っていたり酸っぱくて食べられない。

 米国の理論経済学者ジョージ・アカロフ教授は、このような売り手と買い手の間に“情報の非対称性”がある場合の市場を中古車を例に分析、「レモンの市場」として提唱した。
 レモンの売り手は、安い値段をつければ不良品ということがばれてしまうので、良質車並みの高い値段をつける。買い手は、(レモンかも知れない)高い中古車には手を出さず、(レモンでもあきらめのつく)安い中古車を買うようになる。良質車の売り手は損をしてまで市場には出さない。 結果、「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則のように、良質の中古車は市場から遠のき、下等な車が市場を支配するようになる。
 品質の良い商品から売れていく通常市場モデルと異なり、「逆選択の問題」「不良品横行の原理」とも呼ばれる。

 同志社大学、二村重博教授の「レモンの市場について」参照

 要するに、問題は売り手と買い手が持っている商品情報の格差にある。急成長したネットオークションも同様の問題を抱えている。
 IT(情報技術)革命の本質の一つは、情報格差の平準化。隠れたレモンを市場からあぶりだせれば、市場は健全に成長、発展する。

 CIOオンライン「Case Files」によれば、米国でカーファックスという企業が、Webベースで中古車の詳細な経歴リポートを提供するサービスを開始、一部を「レモン・チェック」として無償提供し始めた。

 前述の中古車情報誌3誌は、いずれもWebとの連動に意欲的である。互いに競争し合うことでレベルアップを期待したいのだが、今のところ3誌とも似たり寄ったりの内容で…。

(01/06/07 わたなべあさお)

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